雛祭りなどとは全く無縁に過ごしてきたが、あの絢爛な雰囲気は被写体としては最高
昨年の用瀬町の【もちがせの流しびな】と共にリピーターになりそうなのが、今回訪れた高砂屋の雛人形展示
こちらも昨年初めて訪れたが、一眼レフでどうしても撮りたくて再訪
室内の撮影はまだまだ自信はないが、設定やアングルの工夫も楽しくて優雅な一時を過ごさせて頂いた
城下町とっとり交流館・高砂屋
高砂屋という店名から想像されるように、ルーツは播州・高砂市。姫路から転封された池田光政の時代に鳥取に移住、造り酒屋を始めたのが鳥取高砂屋の初代。
次々と分家を出し、その内の材木商として鳥取藩の御用商人となった高砂屋池内家が明治時代に今の場所に建てたのが、現在の高砂屋。2005年に鳥取市に寄贈され交流館として活用されている。
鳥取に来た頃、住宅街に独特の佇まいで残る建物に興味を惹かれ覗いた事があった。何の店舗か分からず引き返したが、新聞などでよく取り上げられて、城下町とっとり交流館・高砂屋と判明。
鳥取市文化財団が管理運営を行っている高砂屋。年間を通して歳時として正月、節分、ひなまつり、端午の節句などのイベント。更には施設内の貸し出しや伝統工芸品の販売などを行っている。
高砂屋歳時『ひなまつり』
雛祭り等は全く興味無かったが、昨年撮影の対象として初めて訪問したのが高砂屋。いかにも商家という雰囲気の和風の部屋に色取り取りの雛人形。夢中でシャッターを切っていた。
今年一眼レフで再び撮影に挑戦。昨年と同じ人形かと思ったが、一般家庭からの寄贈や貸し出し等で新しい人形もいっぱい。経験が少ない室内の撮影にカメラ設定を変えてじっくり撮影。
土日祝日は女の子達で賑わうと予想して、平日の午後をオフにしての撮影。入れ違いになった女性グループの他には訪れる人もなく、アングルやホワイトバランス等を変えて集中。
広い商家の2階の畳や板の間の部屋を全て埋め尽くした雛人形。部屋毎に趣を変えた飽きの来ない展示。誰もいない昼下がりの部屋で、無数の雛人形に囲まれる非日常のスリルを味わわせて頂いた。
ゆったり、のんびりの一時
高砂屋には裏庭があり、その奥に複数の土蔵も建てられている。その土蔵にも雛人形がいっぱい。昔の商家といい、土蔵といい現代の一般家庭ではまず見られない貴重なものを見させて頂いた。
母屋に戻って誰もいない喫茶コーナーに気付き、コーヒーで一服。冬場で花は咲いていないが庭では梅が見頃。その傍らには鳥取市出身の自由律俳句の放哉のものと思われる句碑も。
薄暗い感じの喫茶コーナーがシックで居心地が良い。微かなランプと雛人形の雪洞の灯りの中で撮ったばかりの写真を見直す。
柱に掛けてある古時計と紺色の暖簾に見守られながら、何とも言えない貴重で優雅な一時。親切な職員に見送られながら、端午の節句にはまた来ずにはいられないような予感が……。