花ばかり撮っていると無性に風景が撮りたくなる
週末のホテルはどこも満杯となると日帰りになる
青い海を検索していたら近場に面白いスポットが
今回は昔北前船の寄港地として栄えた諸寄の撮影
北前船の寄港地・諸寄
何故か日本海に憧れる。太平洋と違う繊細な海の微妙な色合いがそうさせるのかもしれない。そして、もう一つはほぼ僻地化してうら寂しい印象があるのも、騒々しい観光地にない魅力。
今回選んだ諸寄(もろよせ)もその一つ。和歌に詠まれる美しい白浜と、北前船の寄港地という二つの顔を持つ歴史の町。現在も古い町並みが残っていて、歴史好きな人の散策には堪らない町。
諸寄駅は乗車券の販売機もない無人駅で下車するのは私だけ。しかし駅前にある幼稚園の子供達が声を上げて大歓迎。ガードを潜ると細い路地の向こうに青い海。左には長い漁港の競り場が現れる。
その先の橋を渡ると、北前船で栄えた往時が偲ばれるような廻船問屋の母屋や船宿が並んでいる。右には北前船停泊地となった旧諸寄港の蒼い海が凪いで静かに横たわっている。
旧日和山灯台への迷走
と、静かな通りに人の気配がして振り向くと、年配のご婦人が自転車で追い掛けてくる。旅行者とみたのか「諸寄港」まち歩きマップと詳しく書かれた絵図をわざわざ届けてくれたのだ。
丁重にお礼を言って、その絵図を参考に町ブラを楽しませて頂いた。そして、今回のコンセプトの『高台から見下ろす海』の撮影に取り掛かる。まずは検索してきた旧日和山灯台。
しかし、地元の人に聞いても首を傾げたり、見当違いの場所を言うだけ。ようやく年配の男性が地図を書いて教えてくれた。が、道も無いような草地の斜面を見て呆然。
間違いかと思ったが、崩れ掛けた石段が見えたので恐る恐る上がっていく。蛇でも潜んでいそうな草地と足場の悪い道を上って数分。樹林の先に青い海と白い灯台が現れた。
無人で今は灯台ではなく別の役目として使われているようだ。断崖の下には誘うようなエメラルドグリーンの海。地平線まで青い海と、右手の旧諸寄港の270度の海面を独り占め。
遠近上下の青、碧、蒼を設定を変えアングルを変えて撮りまくる事数十分。空腹を覚えて柵も無い絶壁の端の岩に腰を下ろす。青い海と潮風をご馳走に遅い昼飯。正に独り旅の醍醐味を味わった。
城山園地展望台の絶景
しばらく休んで、再び危ない草地を下りる。一旦駅に戻って誰もいないベンチでレンズ交換。本当は灯台で換えたかったが、潮風の中でのレンズ交換はNG。と、また一人の男性が近寄ってくる。
少し世間話をした後、もう一つの目的地の城山園地展望台を訊ねると丁寧に教えてくれる。今日会った人はみんな素朴で温かみがあって親切。こういうところは都会の人とは違うなぁと実感。
再びガードを潜って国道を右へ。夏は海水浴場として利用しているらしい遠浅の浜辺。その砂浜と青い海のコントラストに、換えたばかりのレンズで思わずパチリ。和歌に詠まれた雪の白浜を体感。
海を左手に見ながら国道の上り道を行く。歩くこと十数分。案内板を見ていると、ここでも親切な女性ウォーカーが丁寧に教えてくれた。車も上れる舗装された道を新緑を味わいながら歩く。
無人の頂上には息を飲む絶景が待っていた。正面にはまだ高い日を反射してキラキラ輝く日本海。そして、左手の眼下にはミニチュアのような、諸寄の港と家並みと海と白浜。
何度もシャッターを切って、東屋で憩うこと一時間。この夕景は是非撮りたいと願ったが、無情にもカメラのバッテリー切れ。一番綺麗と思われる秋の夕方の再訪を約して城山を下りた。