
断崖絶壁の灯台から一週間。鳥取市のマップを眺めて気になったのが山王滝。
早速検索してみると、以前から気になっていた岡山県境にある佐治町の山奥。
県境の山奥を訪ねて、またぼっち撮影になった山王滝リポ
県境の山奥・山王滝1
ダム撮影から一週間。まだ膝の痛みは消えないが秘境の撮影への興趣は募る。以前から気になっていた町の一つが佐治町。岡山県境にある町で以前は町制が敷かれていたが、現在は鳥取市に編入されている。

国内屈指の大型望遠鏡や、プラネタリウムのさじアストロパークが有名。今回は三段滝の山王滝の撮影。しかし、調べてみると路線バスは廃止。走っているのは住民が買い物などに使うコミュニティバスだけ。
ただ、住民の予約で埋まっていなければ地区民でなくても利用は可能。金曜日の夕方に往復の時間を決めて予約完了。電車で用瀬駅に着いたのは昼前。そこで乗り換え、終点一つ前のバス停から逸れる。更に山道へ続く1キロ程をわざわざ送ってくれる。

バスが帰ると辺りに人気はなく、樹林に囲まれた山王谷キャンプ場の深い緑が残っているだけ。そこから宿泊施設のような建物の先の橋が滝への入り口。橋を渡ると山道からすぐに丸太の階段が山奥へと延びている。
県境の山奥・三王滝2
曲がりくねった階段を上り下りして15分。最後は壊れた階段がゴロゴロした岩や石に変わった所で滝の音と、その豪快な姿が見えてきた。滝そのものは三段滝で15メートル程だが、水量はかなり多い。

リバートレッキング等も行われているようだが、土曜日というのに人っ子一人いない。大きな岩や、川底の石に上がって次々にシャッターを切っていく。夏でも涼しいと聞いたが、樹林の上から届く昼過ぎの陽が意外と暑い。

滝からの水流にペットボトルを冷やして、遅めの昼食を摂る。樹林に囲まれた岩の上で滝の音を聴き、清流を眺めながらの至福のひととき。冷えた飲料水が心も体も洗い流してくれるよう。

昼食の後、大岩に付いた梯子を上がって滝の近くからシャッターを切る。遠くからみると樹林の中の一糸だが、轟音と飛沫はなかなかのもの。結局、2時間以上もいたが誰一人現れず、先週に続いてのぼっち撮影になってしまった。
国道沿いの佐治川ダム
山道を引き返してキャンプ場まで戻る。しかし、迎えのバスまでは2時間ある。国道まで出てバスから見えた佐治川ダムへ歩く。20分程戻るとダム湖が見えてきた。

山と緑に囲まれて、青空を水鏡にしたダム湖だが、晴天続きのせいか思った程の水量はない。更に歩いてダムの真上を渡って事務所まで行ってみる。反対側は迫力の音と共に放水の時間。そして、その先は樹林が続く山また山。

ダムを半周するようにしてシャッターを切っていく。再び国道を山王滝まで戻ると迎えのバスが見えてきた。来る時は途中で2人降りたが、帰りは私一人。約20分の道のりを私だけの為に迎えにきてくれたようだ。丁重にお礼を言って用瀬駅で別れた。
流しびなの里・用瀬町
駅に着いたものの、次の電車までは1時間あるので少し散策。用瀬には流しびなや、川を泳ぐ鯉のぼり、マラソン大会等4、5回訪れている。駅近くの鯉のぼりが泳いでいた清流は、相変わらず爽やかなせせらぎを聞かせてくれる。

駅から真っ直ぐ行くと昔ながらの宿場町の風情を残す古い町並みの通りに出る。古い酒問屋の跡なのだろうか、瓦屋根に格子に木戸口や簾……。いつも行く若桜町などもそうだが、宿場町や城下町などの街道を歩くのがたまらなく好きだ。

更に、高台にある寺の通りに上がってみる。用瀬は種田山頭火の『分け入っても分け入っても青い山』の他、松尾芭蕉、山口誓子など20近くの句碑や、歌碑のある用瀬文学の小径がある。その近くから見える流しびなの館の写真を撮って駅に戻った。