
最近、秘境ばかりに囚われて忘れかけていた駅間ウオーキング
久しぶりに晴れた週末、秋桜、海、夕陽に誘われて秋の撮影に
青谷から泊までの見所満載のリポート
2年ぶりの青谷コスモス畑

カラッと晴れる日が少ない10月の天気。珍しく雨の予報がなかった週末、久しぶりのウオーキング撮影を思い立った。選んだのはコスモス畑がある青谷。昼過ぎの電車で青谷駅に着いたのは1時頃。
2年前に訪れているのでコスモス畑はすぐに分かった。その上、以前は2ケ所に分かれていたのが、今年は一つの場所に集めていたので撮影はしやすかった。まだ満開には早かったのもあるが、秋桜は畑の全景を撮っても目立たない花だと思う。

ピンクが綺麗なのは認めるが、先日まで撮っていた彼岸花の赤に比べるとインパクトには欠ける。ただ、ボカシ撮りで一輪の秋桜にピントを合わせると、一転して鮮やかなピンクが活きてくる。

更に、青谷上寺地遺跡で児童達が稲刈りした古代米の稲架掛けが、青空の下にズラーッと並んでいるのは壮観だった。稲架掛けと秋桜を一緒に収めたかったが、近くに咲いているのは少なくて上手く撮れなかった。
真っ青な海を見ての一人旅

そこから、今日の目的の駅間ウオーキング撮影へ向かう。7月に青谷の海岸線を歩いてから3ケ月。その時に訪れた井出ケ浜まで約20分の道のり。着いて驚いたのはサーファーの多さ。駐車場は満杯で老若男女を問わず波を楽しんでいた。

2、3枚写真を撮ってすぐに国道9号線を歩く。前回歩いた長和瀬までの途中も青い空と海に見惚れて再びシャッターを切ってしまう。長和瀬の堤防灯台から先は未知の光景。奇岩や、青い海に白い波飛沫と何キロ歩いても見飽きる事がない絶景。

途中、小浜という海岸に下りてみる。そこもサーファーで溢れていたが、テトラポットと自然の岩が織り成す光景にシャッター。そして国道へ戻って見下ろす家々の瓦屋根の向こうに広がる青い空と海は、日本の原風景のようで撮らずにはいられない。
再び歩いて、また国道を逸れて石脇海岸。有名なようだが琴線に触れるような景色はなく、ここもサーファーでごった返し。鳥取って、そんなにサーフィン流行っていたかなと思いながら海岸線を回ってゴールの泊漁港へ向かう。
赤い夕陽に見惚れた泊漁港

カーブを曲がって目に飛び込んできたのは、青い空と海に挟まれた緑の山をバックに並ぶミニチュアのような漁港。海の生まれではないが、どこか懐かしさを覚える光景にシャッターを切っていく。

長く延びた堤防に上がって突端の灯台の前に腰を下ろす。内海の先には横切るような更に長い堤防。そして、日本海と長い岬。その上は徐々に色を変えていく秋の空。12キロを超える距離の疲れを癒やすように、ジッと座って夕暮れを待つ。
突端に長いこと座っていたので、心配になったのか釣り人や散歩中の年配者が声を掛けてくる。青谷から歩いて来たと言うと一様に驚いて、夕陽の美しいスポットや泊(とまり)駅までの道を教えてくれる。

陽が落ちて空が茜色に染まり、オレンジ色の水光が私を突き刺すように真っ直ぐ伸びてくる。堤防と夕陽が重なった瞬間を撮って堤防を下りる。教えてくれた高台のスポットへ向かう。夕陽が沈む瞬間まで粘ってシャッターを切り続ける。

これで終わりではなかった。陽は沈んだのに茜色の空と雲が海面に反射して、堤防や漁船や港町を得も言われぬ色に染めていく。駅までの所要時間が分からず電車の時間に間に合うか不安だが、目を離せず次々にシャッターを切っていく。

気が付くと、海は明るいのに陸は真っ暗。今度は犬と散歩中の女性が声を掛けてくる。親切に駅への分岐点まで歩いて教えてくれる。何とか真っ暗な駅前にたどり着いた。疲れたが絶景だけでなく、港町の人情に触れるウオーキング撮影だった。