
花火が終わって気抜けした状態が続く
そんな時久し振りに海が見たいと検索
ヒットしたのが断崖絶壁の秘境の灯台
共に3回目となる諸寄、浜坂撮影リポ
絶品の海の色・諸寄漁港
3回目になる諸寄駅に着いたのは午後1時。土曜日のせいか、昼寝の時間なのか駅の前にある保育園児の出迎えもなく、無人駅は静まり返っていた。坂を下りて右折すると目の前に綺麗な諸寄の海。

8月最後の週末で海水浴場は2、3組の家族連れが泳いでいるだけ。相変わらず綺麗な白浜と、沖につれて微妙に色を変えた碧い海面が堤防の先へと続いている。その上には快晴の真っ青な空。
一幅の絵のような光景にすかさずシャッターを切る。しかし、今日の目的地はここではない。城山トンネルを左手に見ながら国道を上がっていく。すぐ左に山が見えてきた。今日の目的地の矢城ヶ鼻(やじろがはな)灯台はその山の向こう側になる。

昨年訪れた城山園地への入り口から曲がりくねったアスファルトの道を上がっていく。半月板損傷の両膝には負担になる坂道。駅から50分ぐらいで展望台に到着。青空の下に箱庭のような諸寄漁港の建物と青い海が広がっていた。
断崖絶壁の矢城ヶ鼻灯台(1)
地元の人らしき年配者に灯台への入り口を聞いた。「車が止まっていないから、誰も行っていないようだから気を付けなさい」と一言加えてくれる。落石注意の看板の向こうに鬱蒼と茂った山道が続いていた。

木漏れ日の入る山道の右は落石の跡が残る山肌。左には樹木越しに青い海。何回か曲がっている内に道は狭くなり、木漏れ日も届かない樹林の中、時々鳥の鳴き声が届くだけ。風でざわっと木々が揺れる度に熊か猪かとギョッとする。
20分程歩くと『孤高の人』のモデルとなった登山家加藤文太郎顕彰碑に着いた。ここで半分というから、まずまずのペース。しかし、そこから先は更に薄暗く道も更に狭くなる。そして、一カ所道が崩落して半分も残っていない所に着いた。

左は山肌。樹林の下に海が見える片側は急斜面。左は更に崩れそうなので、右の斜面に足を掛けてジャンプ。その時、斜面が崩れてハッとしたが、何とか左足が地面に着地して事なきを得た。が、その急な動きで両膝に痛みが走った。

痛みはあるが歩けない程ではないと言い聞かせて先へ向かう。そして、いきなり樹林が切れて先日花火大会で訪れた浜坂の海岸が見えてきた。青い海に赤い白馬歩道橋。その向こうには但馬の山々。カメラを取り出して次々シャッターを切っていく。
断崖絶壁の矢城ケ鼻灯台(2)

その先をカーブすると一気に明るくなり、ゴールが近いと教えてくれる。樹林の向こうに青い空と海。そして、その青をバックに眼下に白い城ケ鼻灯台。再びカメラを取り出してパチリ。
しかし、喜ぶには早かった。手が届きそうな灯台の前には曲がりくねった250段の石段。石段の横幅はあるが、何故か一つ一つの石段の着地部が短い。私の靴の半分に満たない所もある。体重がかかる度に痛む膝で降りられるだろうか。

更に降りると、階段状の石段が消え、いきなり丸っこい石が置かれているだけの悪路になった。危険だからなのか、両側に杭が打たれ鎖が手すりのように付いている。普段は手すりは絶対に使わないが、膝の痛さに堪えかねて鎖に掴まって何とか降りる。

これは、ブロ友のsamさんの領域だと呟きながら近付いていく。見上げると突端には青い空をバックに白い灯台。その両側は切り立った断崖絶壁。そして、270度の海、海、海。思う存分シャッターを切って灯台の横の杭に腰を下ろす。

ジーンズにホールドしたカバーからペットボトルを出して、残り少ない飲料を一気飲み。眼下の海と後方の絶壁を見ながら、海風に吹かれて一休み。心地良い風が疲れと膝の痛みを少しずつ少しずつ和らげてくれる。
結果的に駅間ウオーキング
30分程休んで重い腰を上げる。たぶん、再び訪れる事はないだろうと思い、270度の海と背後の絶壁を眼に焼き付けるように見詰める。帰りは250段の石段の上りから。石段を数えながら駆けるように一気に上り詰める。

振り返って灯台と海を確認して最後のシャッターを切る。あとはカメラをバッグに入れて樹林へ向かう。疲れはあるが一度通った道なので不安はない。城山園地の展望台まで40分弱で到着。少し景色を眺めて休憩し山を下りた。

時間はまだ4時前。諸寄へ戻るより浜坂の海岸へと思い、国道を進む。しかし、峠のような小高い坂を越えて気付いた。樹林越しに見えていた海がない。町並みの向こうに微かに海がみえるだけ。海へは城山トンネルを進むのだと気付いた。
また、坂道を戻る気力はない。そのまま進むと浜坂駅に続く道に出た。左折すれば海岸には行けるが、もう喉はカラカラ。駅に着いてペットボトル2本を飲み尽くす。待合室に座って次の電車で帰ってきた。結果的に駅間ウオーキングになっていた。