6月といえば鬱陶しい梅雨時と敬遠され勝ちなイメージがあるようだ。しかし、その梅雨時に咲く花は鬱々とした気分を吹き飛ばしてくれるような美しいものが多い。各種アンケートによれば6月や梅雨時を代表する花として挙げられるのは、紫陽花、薔薇、花菖蒲、百合、ラベンダー……鮮やかで綺麗なものばかり。
中でも6月の花の代名詞といえば紫陽花ではないだろうか。色々種類はあるが、密集した小さな花びらが半円球で鮮やかに咲き誇る様はジメジメした気持ちを一掃してくれる。快晴の下でも、雨に打たれても絵になる紫陽花をフライング気味に撮影してきました。
あじさい公園
梅雨時に最もポピュラーな花と言っても過言ではない紫陽花。神社仏閣から公園、各家の庭まであらゆる所に咲いている。あじさい寺やあじさい公園などの名称もほぼ全国にあるはず。鳥取市のあじさい公園も梅雨が近付くと、新聞やテレビで開花や見頃情報を目にする。鳥取市美萩野という美しい名前が住所とは分かっているが、地元ではない私には例によって見当がつかない。
検索して、山陰本線鳥取駅から3つ目の末恒駅近くと知って電車で出掛けたのは6月最初の週末。雲はあるが梅雨時とは思えない好天の午後、カメラを入れたリュックだけ背負って乗り込んだ。市街地を過ぎて日本一大きい湖山池を眺めていると直にアナウンス。無人駅に降りて目の前の道路を右手に進んで100メートルも歩くと、右下に色付きかけた紫陽花が見えてきた。
快晴での撮影
あじさい公園デビューは快晴だったが、残念ながらまだまだ見頃には早過ぎでした。市街地の公園や近くの庭では鮮やかな色を見せて咲いていただけに意外な感じ。特に、今年は桜もツツジも早かっただけに、植物の生育が早いイメージがあったので遅れまいとフライングしたようだ。ただ、咲く場所に依るのか種類のせいか不明だが、大輪の青系統の花が開いているのが幾らかあったので撮影は成功。
このあじさい公園は駅近というアクセスの良さと、山や田園風景、さらに撮り鉄好みの線路沿い。その上、鳥取空港が近いので運が良ければ電車だけでなく、轟音と共に頭上を通過する飛行機まで撮れる。また、地元の人達が自然を活かしたままの形で四季の花々を育てているので、花を愛でる大人達だけでなく、蜻蛉、蝶、蝸牛やカエルを見付けにくる子供達にも人気のスポット。
曇り空の撮影
1回目の撮影時からほぼ一週間後の週末、雨こそ降らなかったものの梅雨曇りの日曜日。私は再びあじさい公園に向かう。一週間前に目を楽しませてくれた市街地や沿線の紫陽花は心なしかピークを過ぎ、少し色褪せているように映っただけに今度こそと期待が高まる。先週より人出も多く心は逸った。しかし、開花している花は多かったが素人目にも色味が薄く、今一つ物足りない印象を受けた。
それでも、親子連れやカップルに老夫婦達が次々に訪れて散策し、写真を撮って楽しんでいる。私は前回よりも丹念に園内を歩き、紫陽花の他の名も知らぬ花々もカメラに収めていく。末恒駅を発着する電車の時刻や、通過していく特急列車の予想時刻も検索して紫陽花とのツーショットも収めた。三脚を仕舞いかけた時、轟音と共に飛行機が見えた。一瞬遅れてシャッターを切ったが、何とか飛行機は捉えた……。