
例年より遅い紅葉、黄葉だったが、その分見頃の時期に気温が低下して鮮やかという声も聞かれる
毎年のように紅葉、黄葉撮影はしてきたが、今年は特に地方へ出掛ける機会が多いような気がする
今回は先週末に訪れた、昭和初期の建物が残る智頭町の板井原集落と諏訪神社の撮影リポート
昭和初期の建物・板井原集落
昭和初期の建造物が残る集落として県内外で有名な板井原。以前、冬に智頭町を訪れた時に、駅から5キロなら歩いて行けると思ったが、遭難しますよと地元の人に止められた。今の時期なら大丈夫とも思ったが熊が出たらと思うと踏み切れない。

バスで智頭町に入ったところで板井原4キロの看板が見えた。道路も舗装されていたので、余っ程降りて歩こうかと思ったが、結局そのまま駅まで行って乗り合いタクシーに乗車。乗り合いといっても乗客は私一人だけ。

しかし、タクシーで正解だった。看板の出ていた場所からいきなり登りになって、しかもすれ違い出来ないような狭い道路を延々と登っていく。まるで、ポツンと一軒家かと言いたくなるほど、全く建物がない。15分で着いた所は別世界。

映像では観た事があるが、昭和と言われてもピンと来ないような古くて壊れた民家が殆ど。鳥取県伝統的建造物群保存地区というより、言い方は悪いが廃墟の集落という感じ。20戸以上はあるが生活感があるのは2、3軒だけ。

しかも、紅葉はピークを過ぎている。気を取り直して、公民館、神社、水車小屋などにシャッターを切っていく。恐る恐る集落の中に足を踏み入れると、倒壊しそうな家々の前に、リヤカー、農機具、筵、笊など今では見られない物が散乱していた。
平家の落人の隠れ里とも言われるだけあって、墓碑銘は藤原姓が殆どのようだ。タクシーの迎えの時間までは間があるので、また悪い癖が出て裏の山へと入っていく。数キロ歩いてみたが、ただ落ち葉の道が延々と続き、山へと向かっているだけ。

集落に戻って、タクシーで来た道を戻った所にある綺麗な紅葉、黄葉や、苔が生えた木、ポツンとある東屋などを撮影。再び集落に帰ったが、晴れて太陽が出ているのに、樹木に遮られて肌寒さを感じる。数分後にやっと迎えのタクシーが現れた。
紅葉の森に包まれた諏訪神社

駅へ向かうタクシーを途中で止めてもらって降りたのは、紅葉が見頃とニュースで観た諏訪神社。ここも、少しピークは過ぎていたが鳥居の向こうは紅葉と黄葉が入り乱れて壮観な景色。拝殿へと続く石段は赤い落ち葉で染められている。

木漏れ日を受けたもみじが綺麗なのでぼかし撮りしながら、石段を上がっていく。参拝を済ませたが、このままでは物足りない。この神社には2回訪れているが、真冬と初冬でピークの紅葉の時期は初めて。
しかし、この拝殿を更に上った裏山にもみじがあるのは知っていた。神社から見上げる青空は紅葉で遮られている。拝殿まではピークを過ぎているが、裏山はちょうど見頃のようだ。石段を上がっていくと真っ赤な世界が待っていた。

斜面になっていて狭いので数こそ少ないが、体が染まる程の紅葉と黄葉が陽を受けて輝いている。下には拝殿の大屋根が見え、ロープが張ってあって立ち入り禁止の所もあるが、少し越えてギリギリまで踏み入って、シャッターを切っていく。

真下に見る拝殿の大屋根や、空を背景の紅葉、黄葉。更に、苔の生えた岩の上に積もる落ち葉。そして、下から見上げる紅葉と黄葉の入り乱れた紅と黄色の世界。アングルを変え、位置を変え、何度シャッターを切っても同じ色はない。

帰りの時間が迫ってきたので、渋々裏山を下りる。しかし、そこでも上がってきた時とは違う景色が待っていた。午後の陽を受けて石灯籠や石段に積もる落ち葉の色に魅せられ、またまた撮影を重ねてしまう。あとは走るように急いでバスに間に合った。
